決算分析

高千穂交易株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/09/25

経常利益は5期で最多、純利益は減益 | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目値
前提2026-09-24 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価2,076円
発行済株式総数20,343,600株
時価総額422.3億円

5年で一番稼いだのに、最後に削られた ―― 高千穂交易2026年3月期を読む

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
経常利益20.05億円24.09億円+20.1%
親会社株主に帰属する当期純利益14.58億円14.15億円-2.9%
現金及び預金60.27億円73.50億円+22.0%

ようか | 笑顔

経常利益が2割も増えてる!

現金もがっつり増えてる!


やよい | 微笑み

うむ。じゃが、真ん中の行を見てみるのじゃ。


ようか | キョトン

純利益……減ってる?

上が2割増えてるのに?


やよい | 自信あり

そうじゃ。途中のどこかで削られておる。

それに、増えた現金にも少し仕掛けがある。


ようか | 驚き

仕掛け!?


やよい | 説明

順番に確かめていくぞ。


目次

  • 会社概要: 海外の先端技術を届ける技術商社
  • 収益構造: 売ったあとも稼ぐ形を増やす姿勢
  • 前期からの変化: 経常利益は5期で最多なのに純利益は減益!?
  • 当期の注目ポイント: 評価損と初めての短期借入
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 増収の主役交代と在庫の出し入れ
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と還元の現在地
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 海外の先端技術を届ける技術商社

ようか | 笑顔

高千穂交易かぁ。

高千穂の神話グッズを売ってる会社だっけー?

やよい姉! 解説よろしく!!

やよい | あきれ顔

神話は関係ない。

海外メーカーの先端技術の商品を見つけてきて日本で売り、

取り付けや保守までこなす技術商社じゃ。

ようか | キョトン

技術商社?

商社なのに技術もやるの?

やよい | 説明

仕入れて右から左に流すだけではない、ということじゃ。

防犯カメラや入退室の機械を客先に取り付けて、そのあとの保守まで請け負っておる。

ようか | キョトン

ほかには何を売ってるの?

やよい | 説明

今は、防犯などの「ビジネスセキュリティ」と、

電子部品などの「エレクトロメカニクス」の2本柱で稼いでおる。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品①ビジネスセキュリティ(当期売上151.52億円)。店舗の万引き防止システムや監視カメラ、データセンター・オフィス向けの入退室管理システム、タイや東南アジアの防火システム、それらの保守
主力商品②エレクトロメカニクス(当期売上143.58億円)。アナログICやマイク用センサーなどの電子部品と、ATM・システムキッチン・複合機向けのスライドレールなどの機構部品
その他商品クラウド型の無線LAN、MSPサービス(企業のネットワークなどの運用をまとめて代行するサービス)、郵便物の封入封緘機、商品管理用のICタグ
収益形態機器の販売・設置が中心。保守・運用受託(全国約300ヶ所のサービス拠点)やクラウドサービスは継続して入る収益
開示区分日本基準の連結。高千穂交易と連結子会社9社。当期から2セグメントに再編

ようか | 驚き

万引き防止から電子部品まで!?

なんでも屋さんじゃん!

やよい | 微笑み

なんでも屋に見えて、海外の技術を見つけて持ち込むという点は共通しておる。

ちなみに当期から、事業の分け方が2つにまとめ直されたのじゃ。

ゆり | 無表情

事業の分け方は、この5年で3回変わっているのです。

  • 2023/3期: 「システム」から「クラウドサービス&サポート」を切り出す
  • 2025/3期: クラウド型ネットワーク商品を「システム」から「クラウドサービス&サポート」へ移す
  • 2026/3期: 「クラウドサービス&サポート」と「システム」を「ビジネスセキュリティ」に統合し、「デバイス」を「エレクトロメカニクス」に名称変更

2. 収益構造: 売ったあとも稼ぐ形を増やす姿勢

ゆり | 無表情

会社はどんな稼ぎ方を目指しているのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ、よい問いじゃ。

会社は中期経営計画で、保守やクラウドのサービスをさらに伸ばすと書いておる。

機械を売って終わりではなく、売ったあとも続けて稼ぐ形を増やしたいのじゃな。

ようか | キョトン

中期経営計画?

やよい | 説明

数年先までの目標と作戦を、会社がまとめて公表したものじゃ。

今の計画は2027年度までの3年間で、成長のための投資に 60億円 を使うと掲げておる。

ゆり | 無表情

計画の中身を並べたのです。

項目内容
最終年度の目標(2028/3期)売上高350億円、営業利益30億円、純利益20億円
成長投資3年で60億円。ビジネスセキュリティ、エレクトロメカニクス、人材・DXなどへ
投資のお金の出どころ本業で稼ぐ現金、在庫や売掛金を減らして生まれる現金、借入の活用
ビジネスセキュリティ店舗やオフィスの防犯と、ネットワークの安全をまとめて提案する
エレクトロメカニクス半導体の売上規模を広げ、自社で企画した商品で付加価値を上げる

ようか | 驚き

目標、けっこう大きく出たね!

やよい | 説明

当期の売上高は 295.11億円 じゃから、あと2年で約 55億円 上積みする計算じゃな。

この会社の設備投資は、毎年 1〜2億円 ほどと小さい。

わらわの見立てじゃが、60億円の多くは設備より、人や会社の買収、在庫などに回るのじゃろう。

ゆり | 微笑み

売ったあとも続く収益を太くしながら、人や買収にもお金を回していく、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、そうじゃな。

保守やクラウドの売上がどこまで伸びるか、60億円が実際に何に使われるか。そこは見ておきたいのう。

3. 前期からの変化: 経常利益は5期で最多なのに純利益は減益!?

売上・利益はどう動いた?

ようか | 笑顔

去年と比べて、売上と利益はどうだったの?

防犯カメラが飛ぶように売れた!?

やよい | あきれ顔

カメラは飛ばん。

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高↑280.98億円295.11億円
売上総利益率↑24.59%25.02%
販売費及び一般管理費↑48.30億円52.85億円
営業利益↑20.80億円20.98億円
営業利益率↓7.40%7.11%
経常利益↑20.05億円24.09億円
親会社株主に帰属する当期純利益↓14.58億円14.15億円

ようか | 驚き

冒頭の表のとおり、上は増えてるのにいちばん下だけ減ってる!

しかも言葉が難しすぎ……全然わからん!

やよい | 説明

売上総利益は、売上から仕入れ代を引いた残りで、粗利とも言う。

販売費及び一般管理費は販管費とも呼んで、人件費など売るためにかかる費用じゃ。

ようか | キョトン

営業利益と経常利益は?

やよい | 説明

粗利から販管費を引いたのが営業利益じゃ。

そこに、為替や投資など本業以外の損益を足し引きしたのが経常利益じゃな。

ようか | キョトン

じゃあ、営業利益がほとんど増えてないのはなんで?

ゆり | 無表情

事業ごとに分けたのです。

前期の値は、当期の2区分に組み替えた会社開示の値です。

事業前期当期前年差
ビジネスセキュリティ 売上高137.09億円151.52億円+14.43億円
ビジネスセキュリティ 利益11.53億円14.03億円+2.50億円
エレクトロメカニクス 売上高143.90億円143.58億円▲0.32億円
エレクトロメカニクス 利益9.27億円6.96億円▲2.31億円

ようか | 驚き

防犯のほうは増えてるのに、電子部品のほうは減ってる!?

やよい | 説明

そうじゃ。防犯側の増益を、電子部品側の減益がほぼ打ち消した形じゃな。

有報によると、電子部品側は円安で仕入れが高くなったのが理由のひとつじゃ。

営業の人員を増やすなどの投資で、販管費が増えたのも挙げておる。

ようか | キョトン

円安だと、仕入れが高くなるの?

やよい | 説明

海外から仕入れて売る会社じゃからな。

有報では、高千穂交易本体の仕入れのうち 53.8% が外貨で払う取引と書いておる。

円が安くなるほど、同じ商品を仕入れるのに多くの円が要るのじゃ。

ゆり | 無表情

売上の増減を、商品の種類ごとに並べたのです。

前期は、当期の売上から前年差を引いて計算した値です。

商品類前期当期前年差主な中身
ビジネスソリューション47.5億円54.6億円+7.1億円データセンター・オフィス向けの入退室管理と監視カメラ
グローバル29.4億円36.3億円+6.9億円東南アジアの防火の大型案件と円安
リテールソリューション41.3億円42.5億円+1.2億円アパレル向けICタグの大型案件
保守サービス19.0億円18.2億円▲0.8億円
エレクトロニクス92.2億円91.3億円▲0.9億円車載機器・モジュール向けの反動減
メカニクス51.7億円52.3億円+0.6億円

ようか | キョトン

じゃあ、いちばん下の純利益だけ減ったのはなんで?

ゆり | 無表情

本業以外の損益で、前期と差が大きかった項目なのです。

プラスは利益を増やす側、▲は減らす側です。

項目前期当期前年差
為替差損益▲0.85億円+1.16億円+2.01億円
投資事業組合運用損益▲1.02億円+0.67億円+1.69億円
投資有価証券売却益+1.62億円+0.62億円▲1.00億円
投資有価証券評価損—▲3.37億円▲3.37億円

ようか | 泣きつく

とうしゆうかしょうけん……ひょうかそん……呪文!

やよい | 説明

投資有価証券は、会社が長く持つつもりで買った、ほかの会社の株などのことじゃ。

その価値が大きく下がったと判断したとき、下がった分を損失にするのが評価損じゃ。

当期はこれを、めったに起きない損失をまとめる特別損失に入れておる。

ようか | キョトン

投資事業組合ってのは?

やよい | 説明

ベンチャー企業にまとめて投資するファンドのことじゃ。

当期は、出資しておるファンドの投資先が上場や売却に至って、利益が出たと有報にある。

ようか | キョトン

じゃあ、全部まとめると?

やよい | 自信あり

為替とファンドで経常利益は増えた。

じゃが、評価損と売却益の減少で、その増えた分以上が削られたのじゃ。

手元資金とネットキャッシュは?

ようか | 笑顔

現金はどうなった?

純利益が減ったし、現金もちょっと減ってたりして!?

やよい | あきれ顔

冒頭で見たとおり、現金は増えておる。

まずは表を見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金↑60.27億円73.50億円
現金及び預金の対資産率↑25.69%28.60%
有利子負債↑0.40億円8.28億円
ネットキャッシュ↑59.87億円65.21億円
ネットキャッシュ比率(提出日終値ベース)↑13.83%15.08%
自己資本比率↓71.8%68.5%

ようか | 驚き

現金はめっちゃ増えてる!

でも、有利子負債ってのも急に増えてない!?

やよい | 説明

有利子負債は、利息を払う借金のことじゃ。

当期は、銀行などからの短期借入金 7.99億円 を、この5年で初めて計上したのじゃ。

ようか | 驚き

あ、これがさっきの仕掛け!?

やよい | 自信あり

うむ、そのひとつじゃ。

ようか | キョトン

ネットキャッシュとかネットキャッシュ比率ってのは?

やよい | 説明

ネットキャッシュは、現金及び預金から有利子負債を引いた残りじゃ。

ネットキャッシュ比率は、それが時価総額の何%にあたるかの割合じゃ。

この表では、各期の有報を出した日の終値で時価総額を計算しておる。

ゆり | 無表情

自己資本比率は、総資産のうち返さなくてよい株主のお金が占める割合なのです。

現金が増えた流れも並べました。

区分当期の金額主な中身
営業CF+19.35億円本業で入ってきた現金
投資CF+0.11億円投資有価証券の売却+2.71億円、取得▲1.47億円など
財務CF▲8.32億円配当金の支払い▲16.02億円、短期借入金の純増+7.81億円など
為替による差額+2.09億円外貨建ての現金を円に換算したときの増加
現金の増減+13.23億円

ようか | キョトン

CFってなに?

やよい | 説明

キャッシュ・フロー、つまり現金の出入りのことじゃ。

営業CFは本業、投資CFは設備や株などへの投資、財務CFは借入や配当で動いた現金じゃな。

ようか | 驚き

配当で出ていった現金、けっこう大きくない!?

やよい | 説明

利益のほぼ全部を配当に回す方針を続けてきたからな。

借入の使い道は開示に書かれておらぬが、会社は計画で「有利子負債の活用」を掲げておる。

わらわの見立てじゃが、配当を払いつつ手元の現金も厚く保つために借りたのじゃろう。

ゆり | 無表情

現金の増え方に比べて、ネットキャッシュの増え方が小さいのは、借入の分ですか?

やよい | 自信あり

うむ、増えた現金のうち約 8億円 は借りたお金じゃからな。

それでも借金を全部返して現金がたっぷり残るから、財務の余裕は大きいままじゃ。

フリーCFはどうなった?

ようか | 笑顔

じゃあフリーCFは!?

現金が増えたんだから、こっちも増えてるよね!

やよい | あきれ顔

早とちりするでない。

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF↓29.92億円19.35億円
投資CF↑▲4.73億円+0.11億円
フリーCF↓25.19億円19.46億円

ようか | 驚き

えっ、フリーCFは減ってる!?

やよい | 説明

フリーCFは、営業CFと投資CFを足した、会社が自由に使える現金じゃ。

投資CFはよくなったが、それ以上に営業CFが減ったのじゃ。

ゆり | 無表情

営業CFの減少 10.57億円 の内訳なのです。

前年差のプラスは減少を和らげた側、▲は減少を広げた側です。

区分項目前期当期前年差
主因棚卸資産の増減+16.56億円+0.56億円▲16.00億円
相殺要因売上債権の増減▲7.86億円▲2.10億円+5.76億円
相殺要因契約負債の増減+1.32億円+4.87億円+3.55億円
相殺要因投資有価証券評価損(現金の出ない損失の足し戻し)—+3.37億円+3.37億円
相殺要因法人税等の支払額▲8.33億円▲6.18億円+2.14億円
補助要因その他+0.22億円▲2.14億円▲2.36億円
補助要因消費税等の増減+0.33億円▲1.87億円▲2.20億円
補助要因投資事業組合運用損益(現金の出入りのない損益の調整)+1.02億円▲0.67億円▲1.69億円
—上記以外の項目(純額)▲3.14億円
合計営業CF29.92億円19.35億円▲10.57億円

(前年差は元の金額で計算しているため、表示値どうしの差と0.01億円ずれる行があります)

ようか | 泣きつく

棚卸資産に売上債権に契約負債……呪文だらけ!

やよい | 説明

棚卸資産は在庫、売上債権はまだもらっていない売上の代金、つまりツケじゃ。

契約負債は、保守などのサービスを提供する前にもらった前受けのお金じゃな。

ようか | キョトン

それが増えたり減ったりすると、どうなるの?

やよい | 説明

在庫やツケが減ると、現金が入る。

前受けが増えても、現金が入るのじゃ。

ようか | キョトン

じゃあ、いちばん大きいのは在庫ってこと?

やよい | 自信あり

そうじゃ。前期は在庫が減った分だけ現金が入ったが、当期は在庫がほぼ横ばいで、その流入がなくなった。

これが減少の主因じゃ。

わらわの見立てじゃが、前期に減らしたのは、それまでに積み増した電子部品の在庫じゃろう。

ゆり | 無表情

投資CFがよくなった中身なのです。

項目前期当期前年差
投資有価証券の取得▲5.58億円▲1.47億円+4.11億円
投資有価証券の売却+1.84億円+2.71億円+0.87億円
有形・無形固定資産の取得▲0.99億円▲1.15億円▲0.16億円
投資CF▲4.73億円+0.11億円+4.84億円

ようか | キョトン

設備にかけるお金って、こんなに少ないの?

やよい | 説明

仕入れて売る商社じゃから、大きな工場はいらんのじゃ。

わらわの見立てじゃが、売上を伸ばすときにお金がかかるのは、設備より在庫や人じゃろう。

だから営業CFは、在庫の増減で大きく振れやすいのじゃ。

ゆり | 真剣

在庫を減らして現金が入る動きがなくなって、フリーCFが減ったということですね。

一方で、借入も加わって、現金とネットキャッシュは増えたのです。

4. 当期の注目ポイント: 評価損と初めての短期借入

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上高は +5.0%(295.11億円)、営業利益は +0.9%(20.98億円) なのです。営業利益率は 7.40% → 7.11% に下がったのです。防犯側の増益 +2.50億円 を、電子部品側の減益 ▲2.31億円 がほぼ打ち消したのです。

▶ 経常利益は5期で最も多い 24.09億円 でしたが、投資有価証券評価損 3.37億円 があり、純利益は ▲2.9%(14.15億円) なのです。

▶ 現金及び預金は +22.0%(73.50億円) で、5期で最も多いのです。ただ、うち 7.99億円 は初めて計上した短期借入金で、ネットキャッシュの伸びは +8.9%(65.21億円) なのです。

▶ フリーCFは ▲22.8%(19.46億円) なのです。前期は在庫の減少で 16.56億円 の現金が入りましたが、当期は 0.56億円 にとどまったのです。

▶ 参考株価 2,076円 で計算したネットキャッシュ比率は 15.44% で、100%には届いていないのです。

▶ 会社が安定収益と位置づける保守サービスの売上は 18.2億円 で、売上の約 6.2% なのです。クラウドやMSPはほかの商品類に含まれていて、金額は開示されていないのです。

▶ 配当性向(利益のうち配当に回した割合)は 100.5%、1株配当は 76円 なのです。2027/3期からは累進配当(配当を減らさず、維持か増額する方針)に移り、予想は 76円 の据え置きなのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 増収の主役交代と在庫の出し入れ

ようか | 笑顔

前期との違いは分かった!

じゃあ、もっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力から見ていこう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高208234252281295
当期純利益912141514
営業利益1014152121
営業利益率4.9%5.9%5.8%7.4%7.1%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 驚き

売上は5年ずっと増えてる!

でも利益は、途中で伸びが止まってない?

ゆり | 無表情

事業ごとの5年を並べたのです。

2024/3期以前は、当時の区分を今の2区分に足し合わせた参考値です。

項目(億円)2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
ビジネスセキュリティ 売上高120.11120.17123.89137.09151.52
ビジネスセキュリティ 利益5.305.994.5711.5314.03
エレクトロメカニクス 売上高87.73113.44128.36143.90143.58
エレクトロメカニクス 利益4.947.7710.099.276.96

ようか | キョトン

前半は電子部品のほうが元気で、後半は防犯のほうが元気じゃない?

やよい | 説明

よく見ておるな。

2023/3期は、基地局やプリンタ向けの電子部品が好調で、電子部品側の売上が 25.7億円 増えた。

2024/3期も産業機器向けが伸びて、電子部品側が全体を支えたのじゃ。

ゆり | 無表情

2024/3期は、タイの防火システムの追加工事で、当時の「システム」区分が 0.29億円 の赤字になったのです。

ようか | 驚き

赤字!?

それで防犯側の利益が減ってたんだ!

やよい | 説明

うむ。2025/3期はその追加費用がなくなって、旧システム区分の利益が 4.06億円 増えた。

クラウドや保守の側も、契約が増えて 2.9億円 増益じゃ。

ようか | キョトン

純利益は、最近ずっと同じくらい?

やよい | 説明

2024/3期からは14億円台で横ばいじゃ。

2024/3期は投資有価証券の売却益 2.80億円 で押し上げられ、当期は評価損 3.37億円 で押し下げられた。

持っておる株の損益で、純利益が毎年上下しておるのじゃ。

ようか | 笑顔

でも営業利益は、5年でぐんと増えてる!

やよい | 自信あり

5期で約 2.05倍 じゃ。

伸びをけん引する事業が、前半の電子部品から後半の防犯・クラウド・保守へ入れ替わった5年じゃな。

さて、次はキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金67.145.148.760.373.5
現金及び預金の対資産率32.6%20.4%21.2%25.7%28.6%
ネットキャッシュ67.145.148.259.965.2
ネットキャッシュ比率34.5%14.0%12.0%13.8%15.1%
フリーCF7.9▲8.716.725.219.5

ゆり | 無表情

2023/3期はフリーCFがマイナスで、現金及び預金も5期で最も少ないのです。

売上が急に増えたから、ということですか?

やよい | 説明

そういう面もあるが、本質は、稼いだ利益が現金として入る前に別のところで止まっておったことじゃ。

どこで止まったか、表で見るのじゃ。

ゆり | 無表情

2022/3期と2023/3期の営業CFの主な動きなのです。

項目2022/3期2023/3期前年差
売上債権の増減+8.20億円▲13.06億円▲21.26億円
棚卸資産の増減▲6.60億円▲17.99億円▲11.39億円
営業CF11.85億円▲13.88億円▲25.73億円

ようか | 驚き

在庫とツケで、そんなに現金が出ていったの!?

やよい | 説明

有報には、お客さんから先に注文をもらった電子部品の在庫を確保した、と書いてある。

わらわの見立てじゃが、電子部品の売上が大きく増えた分、まだ回収していない代金も膨らんだのじゃろう。

ゆり | 無表情

在庫の残高と営業CFを並べたのです。

なお、2023/3期の投資CFには、定期預金の払い戻し 11億円 の収入も入っています。

項目(億円)2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
棚卸資産32.5450.7653.6137.4337.18
営業CF11.85▲13.8816.4229.9219.35

ようか | 笑顔

2025/3期に在庫がガクッと減って、営業CFがいちばん大きくなってる!

やよい | 自信あり

そうじゃ。2025/3期は、在庫の減少で 16.56億円 の現金が入っておる。

わらわの見立てじゃが、2023/3期に積んだ電子部品の在庫を、2025/3期に減らしたのじゃろう。

そう見ると、同じ在庫の積み増しと取り崩しが別々の年に出た形になるな。

ゆり | 無表情

5年間の自由に使える現金と、配当を並べたのです。

1株配当は、2025年6月の株式分割(1株を2株に分割)に合わせて調整した値です。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期5期合計
フリーCF(億円)7.91▲8.6516.7125.1919.4660.62
配当金の支払い(億円)2.246.0414.8015.0516.0254.15
1株配当(分割調整後)27.5円66.5円79円80円76円—
配当性向56.3%100.5%100.5%102.7%100.5%—
利益剰余金(億円)133.78139.80139.39138.93137.09—

ようか | 泣きつく

利益剰余金……全然わからん!

やよい | 説明

会社がこれまで稼いだ利益のうち、配当せずに残してきた分の積み上げじゃ。

配当性向が100%なら、稼いだ利益をまるごと配当に出すから、ここはほとんど増えぬ。

ようか | キョトン

表だと、ちょっとずつ減ってない?

やよい | 説明

2023/3期をピークに少しずつ減っておるのは、

その年に実際に払った配当が、純利益を上回った年が続いたからじゃな。

ようか | 驚き

5年で稼いだ自由なお金の、ほとんどを配当に出してる!?

やよい | 自信あり

うむ、5期合計で見ると約9割じゃ。

会社は2027/3期から累進配当に切り替えて、配当を利益にまるごと合わせるやり方をやめる。

配当を維持しつつ、60億円の投資と両立できるかが焦点じゃ。

ゆり | 無表情

配当をしっかり払いながらも、借金はほとんどなく、財務の余裕は保ってきた、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ、当期の自己資本比率は 68.5% で、借入を始めても重荷にはなっておらぬ。

ただ、営業CFは在庫の出し入れで大きく振れる。

配当と投資の両立は、今後の在庫の動き次第じゃ。

ゆり | 微笑み

さらに詳しく知りたい人向けに、財務諸表をまとめたのです。必要な方は下を開いてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金67.145.148.760.373.5
流動資産173.9183.0188.9192.1209.5
有形固定資産5.44.54.64.03.6
総資産205.9221.3229.6234.6257.0
流動負債48.149.554.158.272.2
固定負債7.67.57.28.08.8
純資産150.3164.3168.4168.3175.9
自己資本比率72.9%74.2%73.3%71.8%68.5%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高207.8233.6252.2281.0295.1
売上原価156.9175.2191.7211.9221.3
売上総利益51.058.460.569.173.8
営業利益10.213.814.720.821.0
親会社帰属純利益8.812.114.414.614.2

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF11.8▲13.916.429.919.3
投資CF▲3.95.20.3▲4.70.1
財務CF▲1.9▲3.0▲14.6▲15.1▲8.3
フリーCF7.9▲8.716.725.219.5
現金増減7.1▲11.03.611.613.2

(連結・日本基準、単位は億円。自己資本比率は会社開示の値。現金増減は現金及び現金同等物の増減額で、為替換算差額を含む。フリーCFは営業CFと投資CFの元の金額を足してから四捨五入しているため、表示値の合計と0.1億円ずれる年がある)

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と還元の現在地

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

売上は5年ずっと増えて、営業利益も約2倍になった!

当期は株の評価損で純利益が減って、現金の増加には借入も入ってた!

配当は減らさない方針に変わるけど、60億円の投資と両立できるか注目だな!

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、財務健全性は流動比率やEBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER29.84倍時価総額422.33億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益14.15億円(参考株価2,076円ベース)
現金比率101.76%現金及び預金73.50億円 ÷ 流動負債72.23億円
流動比率290.1%流動資産209.55億円 ÷ 流動負債72.23億円。5期では290.1%〜369.6%
ネットキャッシュ65.21億円現金及び預金73.50億円 − 有利子負債(短期借入金・リース債務)8.28億円
ネットキャッシュ比率15.44%ネットキャッシュ65.21億円 ÷ 時価総額422.33億円(参考株価2,076円ベース)。投資有価証券38.30億円×0.7を加えた参考値は21.79%
EBITDA22.79億円営業利益20.98億円 + 減価償却費1.81億円
EBITDA/自己資本12.95%EBITDA22.79億円 ÷ 自己資本175.95億円
EBITDA/利息259.1倍EBITDA22.79億円 ÷ 支払利息0.09億円。利払い負担は小さい
ROIC7.99%営業利益×0.7 ÷(自己資本175.95億円 + 短期借入金7.99億円)。5期では4.77%(2022/3期)が最小、8.65%(2025/3期)が最大

5年データ(各期の有報提出日終値ベース)

指標2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
提出日終値1,909円3,160円3,950円2,128円(分割後)2,125円
時価総額(億円)194.18321.43401.79432.91432.30
PER22.10倍26.67倍27.95倍29.69倍30.54倍
ネットキャッシュ比率34.5%14.0%12.0%13.8%15.1%
EBITDA(億円)12.0715.6116.6522.7322.79
ROIC4.77%5.86%6.09%8.65%7.99%
ROE(会社開示)6.0%7.7%8.6%8.7%8.2%
有利子負債(億円)0.000.000.510.408.28

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 市場の変動: 防犯などの機器販売は、お客さんの新規出店や設備投資の増減で売上が変わりやすい。電子部品は価格と需給の変動が大きい汎用半導体をやめ、特定の用途向けに力を入れている。
  • 先端技術・商品の確保: 新しい商品の供給元を確保するため、海外のベンチャーメーカーなどに投資することがあり、投資先の経営悪化などで回収できなくなる可能性がある。
  • 主要な仕入先への依存: 海外メーカーの販売代理店として輸入販売しており、代理店契約の変更や更新停止で業績が影響を受ける可能性がある。
  • サプライチェーン及び地政学リスク(当期に新設): 貿易摩擦、輸出入規制、制裁、紛争などで、仕入価格の上昇、調達難、納期遅延が起こる可能性がある。
  • 主要な得意先への依存: 主要な取引先との取引が続かなくなった場合、業績が影響を受ける可能性がある。
  • 為替変動: 高千穂交易本体の仕入れに占める外貨建て取引は53.8%(2027/3期の計画では約60%)。売上の約30%も外貨建てで、円安のリスクは一部だけ相殺される。
  • 投資有価証券等の減損: 収益性の悪化などで価値が下がると減損処理が必要になる。当期は投資有価証券評価損3.37億円を計上した。
  • サイバーセキュリティ: 最重要リスクの一つと位置づけ、ソフトウェアの更新管理や多要素認証などの対策を行っている。
  • 自然災害等(当期に新設): 地震・台風・感染症などで拠点、仕入先、物流網が被害を受けると、事業の停止や遅延が起こる可能性がある。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数20,343,600株2025年6月1日付で1株を2株に分割。分割前は10,171,800株
自己株式数1,629,766株自己保有割合8.01%。取締役向け株式給付信託の保有株34,300株を含めると8.18%
1株当たり年間配当76円中間34.5円 + 期末41.5円。期末配当は2026年6月23日の定時株主総会の決議事項(提出日時点では予定)
配当利回り3.66%参考株価2,076円ベース
配当の推移(分割調整後)27.5→66.5→79→80→76円開示値は分割前で55・133・158・160円、2026/3期は分割後で76円
配当性向(連結・計算値)100.5%配当総額14.22億円 ÷ 純利益14.15億円
配当方針2027/3期から累進配当2026/3期までは配当性向100%。2027/3期からは配当を増額か維持する累進配当。予想は年76円(中間34円 + 期末42円)
5期の還元とフリーCF54.15億円5期の配当金の支払い合計。同じ期間のフリーCF合計60.62億円の約9割
ストック型収益との関係保守18.2億円会社が安定収益と位置づける保守サービスの売上は18.2億円で、配当総額14.22億円を上回る。クラウドやMSPの金額は開示が無い
大株主上位10者で36.71%マースグループホールディングス8.59%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)6.76%、セコム4.80%、みずほ銀行3.21%など

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(2,076円、2026-09-24時点)を使用しています。時価総額・PER・配当利回り・注目ポイントと指標まとめのネットキャッシュ比率は、この株価を前提とした参考値で、自己株式は控除していません。

5年推移表とグラフ、および前期比較の表のネットキャッシュ比率は、各期の時価総額に基づく参考値です。 各期の時価総額は、有価証券報告書の提出日終値に、当時の提出日現在の発行済株式総数を掛けて算出しました。

  • 2022/3期: 1,909円×10,171,800株=194.18億円
  • 2023/3期: 3,160円×10,171,800株=321.43億円
  • 2024/3期: 3,950円×10,171,800株=401.79億円
  • 2025/3期: 2,128円(分割後)×20,343,600株=432.91億円
  • 2026/3期: 2,125円×20,343,600株=432.30億円

当期の注目ポイントと指標まとめのネットキャッシュ比率(15.44%)は、記事作成時点の参考株価で算出しています。 算出基準が異なるため、5年推移表の当期の値(15.1%)とは一致しません。

2025年6月1日付で1株を2株に分割しています。1株当たり配当の5年比較は分割調整後の値で、2022/3期から2025/3期の開示値(55円・133円・158円・160円)は分割前の金額です。2022/3期は創立70周年記念配当、2025/3期は中期経営計画達成記念配当を含みます。配当性向は配当総額を純利益で割った計算値です。

財務数値は連結・日本基準です。ネットキャッシュは現金及び預金から有利子負債(短期借入金、リース債務)を差し引いた値です。有価証券は抽出した財務データに該当科目の行が無いため0円として扱い、投資有価証券(当期末38.30億円)は含めていません。

2022/3期は、現金及び預金(67.09億円)と現金及び現金同等物(56.09億円)に11億円の差があります。預け入れ期間が3ヶ月を超える定期預金と推し量られ、2023/3期の投資CFに定期預金の払い戻し11億円が計上されています。この11億円を除くと、2023/3期のフリーCFは約▲19.6億円となります。

事業の区分は、2023/3期、2025/3期、2026/3期の3回変更されています。セグメント別の5年推移のうち2024/3期以前の値は、当時の区分を現在の2区分に足し合わせた参考値で、会社開示と完全には一致しない可能性があります。商品類別の前期の値は、当期の値と前年差から計算しています。

次の見方は、キャッシュ・フロー計算書の明細や有価証券報告書の記述から推し量った推定を含みます。

  • 短期借入金の使い道を、配当と手元資金の両立とみる見方
  • 2023/3期の売上債権の増加を、電子部品の増収によるものとみる見方
  • 2025/3期の在庫の減少を、2023/3期に積み増した電子部品在庫の取り崩しとみる見方
  • 成長投資の多くが設備以外に向かうという見方

クラウドやMSPの売上は開示されていません。 そのため、継続収益の比率は保守サービスの売上のみで示しています。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第75期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。