決算分析

朝日放送グループホールディングス株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/09/10

最高益、ただし利益率は5年前と同じ | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目値
前提2026-09-10 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価853円
発行済株式総数41,833,000株
時価総額356.8億円

最高益に戻った。ただし利益率は5年前と同じ ―― 朝日放送グループHD2026年3月期を読む

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
営業利益25.91億円47.63億円+83.8%
親会社株主帰属純利益25.02億円44.56億円+78.1%
フリーCF14.90億円54.00億円+262.4%

ようか | 驚き

3つとも増えてる!

しかも下にいくほど増え方がすごい!!


やよい | あきれ顔

数字だけ見ればそうじゃな。

じゃが、この3つは中身がそれぞれ別の話でな。


ようか | キョトン

別の話?


やよい | 自信あり

いちばん下の伸びは、番組が売れて増えたぶんではないのじゃ。


ようか | 驚き

え、じゃあ何で増えたの!?


やよい | 説明

それを言う前に、この会社が何で稼いでおるかを見たほうが早い。

順に追っていくぞ。


目次

  • 会社概要: 関西の放送局と住宅展示場
  • 収益構造: 放送で稼いでコンテンツへ回す
  • 前期からの変化: 営業利益が5期で最高へ
  • 当期の注目ポイント: 利益の中身を分ける
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 増収と利益の落差
  • 指標まとめ: 稼ぐ力とキャッシュの状態
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 関西の放送局と住宅展示場

ようか | 笑顔

朝日放送グループホールディングスかぁ、テレビ番組を作ってる会社だっけー?

やよい姉!解説よろしく!!

やよい | 自信あり

うむ!わらわが解説してやるぞ。

大阪のABC、と言ったほうが早いかもしれぬな。

傘下に朝日放送テレビと朝日放送ラジオを抱えておる。

会社そのものは番組を作らず、放送局を束ねる側じゃ。

ようか | キョトン

束ねる側?

なんかピンと来ない!

やよい | 説明

放送法にもとづく「認定放送持株会社」という形じゃ。

放送免許は子会社が持ち、親会社は経営に専念する。

子会社28社、関連会社17社の集まりでの。

外国人の議決権が5分の1以上になると認定が外れる、という決まりも付いてくる形態じゃ。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品・サービス放送・コンテンツ事業(朝日放送テレビのテレビ放送、朝日放送ラジオ、CS放送のスカイA、番組・アニメ・イベントの企画制作販売)
その他商品ライフスタイル事業(住宅展示場ABCハウジングの企画運営、通販、ゴルフ場経営)
収益形態テレビのスポット広告とコンテンツ販売が中心のフロー型。住宅展示場の区画使用料は継続課金に近い準ストック型
開示区分日本基準の連結。放送・コンテンツ事業とライフスタイル事業の2セグメント

ようか | 驚き

住宅展示場!?

テレビ局なのに家を売ってるの!?

やよい | あきれ顔

家は売っておらん、場所を貸しておるのじゃ。

ハウスメーカーが並んで建てる、あの展示場の運営者がここなのじゃ。

ライフスタイル事業の売上のおよそ7割がこの展示場じゃな。

ゴルフ場と通販も、同じ区分に入っておる。

ゆり | 無表情

中核の朝日放送テレビ単体では、売上高 621.54億円、当期純利益 43.51億円 なのです。

連結売上の約65%を1社で占めているのです。

ようか | 笑顔

じゃあテレビが当たれば全部うまくいくってこと!?

やよい | 微笑み

大づかみにはそうなるのぅ。

当期は朝日放送テレビが個人全体視聴率で3冠を取った、と会社は書いておる。

全日・ゴールデン・プライムの3つで、開局以来はじめての2年連続じゃ。

ただし広告の出方は景気しだいゆえ、当たり外れも大きい商売じゃぞ。

ゆり | 無表情

当期のセグメント別売上は、放送・コンテンツ事業が 826.52億円、ライフスタイル事業が 140.20億円 なのです。

放送・コンテンツ側が全体の8割以上なのです。

2. 収益構造: 放送で稼いでコンテンツへ回す

ゆり | 無表情

収益に対する企業姿勢はどうなのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ。よい指摘じゃ。

事業ごとに役割をはっきり分けて書いておるのが特徴じゃな。

放送事業は「収益力の維持、向上」、コンテンツ事業は「成長のキードライバー」で「積極的な成長投資」。

つまり放送は守り、コンテンツは攻め、という書き分けじゃ。

ゆり | 微笑み

放送で稼いだぶんをコンテンツへ回す姿勢、ということですね。

やよい | 説明

うむ。そうじゃな。

そのぶん設備のほうは絞っておる。

設備投資額は5年前の 84.68億円 から、当期は 39.10億円 じゃ。

ようか | キョトン

え、設備ケチって放送できるの?

やよい | 説明

放送設備の更新は、法律と機械の寿命で時期が決まるものじゃ。

売上が増えたからといって、比例して増える種類の支出ではないのじゃ。

当期の放送・コンテンツ事業の設備投資 23.76億円 も、素材管理システムの更新 2.78億円 といった入れ替え案件が中心での。

ゆり | 真剣

当期の長期前払費用の取得は 10.80億円 で、前期の 7.13億円 から増えているのです。

開示に内訳は無いのですが、これは何に使ったお金ですか?

やよい | 説明

そこがこの会社の見どころじゃ。

コンテンツ事業は、番組やアニメの制作費と出資そのものが売上のもとになる。

内訳は開示されておらぬが、わらわの見立てでは、この増えた分はコンテンツへの出資に回っておるとみておる。

ようか | キョトン

放送とコンテンツで、お金のかかり方が違うってこと?

やよい | 微笑み

そういうことじゃ。

放送は投資を増やさずとも回るが、コンテンツは出さねば増えぬ。

その配分が利益にどう返ってくるかを、今後は見ていく必要があるな。

3. 前期からの変化: 営業利益が5期で最高へ

売上と利益はどう動いた?

ようか | 笑顔

去年と比べて売上と利益はどうだったの?

テレビ局って、そんなに変わらなそうだけど!

やよい | あきれ顔

それが、ずいぶん変わったのじゃ。

売上の伸びは4%台じゃが、利益のほうは別物になっておる。

項目前期比較前期当期
売上高↑919.23億円959.98億円
売上総利益率↑32.8%33.9%
営業利益↑25.91億円47.63億円
営業利益率↑2.82%4.96%
特別利益↑13.26億円35.96億円
親会社株主帰属純利益↑25.02億円44.56億円

ようか | 驚き

冒頭でも見たけど、営業利益が倍近い!!

売上は4%しか増えてないのに!?

やよい | 説明

そこが当期の中身じゃ。

売上が +40.75億円 増えたのに対し、売上原価の増加は +17.26億円、販管費は +1.78億円 で止まった。

差し引きで売上総利益が +23.49億円 増え、そのまま営業利益に乗ったのじゃ。

ゆり | 無表情

セグメント別では、放送・コンテンツ事業の営業利益が 28.24億円 → 45.60億円 なのです。

営業増益 21.72億円 のうち 17.36億円 がここなのです。

ライフスタイル事業は 2.38億円 → 2.45億円 で、ほぼ動いていないのです。

やよい | 説明

会社はテレビ広告市場が好調で、主力のスポット収入が増えたと書いておる。

利益の増減はほぼ放送・コンテンツ事業が作っておる会社じゃ、と覚えておくとよい。

ようか | 笑顔

じゃあ純利益もその勢いってこと!?

ゆり | 無表情

そこは事情が違うのです。

当期の特別利益 35.96億円 の中身を並べてみたのです。

内訳金額中身
固定資産売却益24.35億円不動産の売却。土地の帳簿価額が167.71億円→145.10億円へ減少
事業譲渡益7.20億円譲渡した事業の名称は開示なし
投資有価証券売却益3.94億円保有株式の売却
持分変動利益0.46億円持分法適用会社の持分変動

ようか | 驚き

これ、番組と関係ないやつばっかりじゃん!

やよい | 説明

そこに気づけば十分じゃ。

営業利益 47.63億円 に対して、税引前利益は 71.67億円 まで膨らんだ。

その差のほとんどがこの表じゃ。

純利益 44.56億円 は、来期そのまま繰り返される性質の数字ではないのぅ。

キャッシュとネットキャッシュは?

ようか | 笑顔

利益がそんなに出たなら、現金もガッポリ増えたんでしょ!?

やよい | 自信あり

現金及び預金だけを見ると、ほぼ横ばいじゃ。

だが、置き場所が変わっておる。

項目前期比較前期当期
現金及び預金↑218.79億円219.79億円
現金及び預金の対資産率↓17.02%16.34%
有価証券↑51.99億円132.01億円
有利子負債↓152.50億円138.27億円
ネットキャッシュ↑102.68億円173.93億円
自己資本比率↑59.6%61.4%

ようか | 驚き

じゃあ現金は増えてないの!?

やよい | 微笑み

減ってもおらぬ、動かしただけじゃ。

当期は有価証券を 63.18億円 買い、19.00億円 が償還された。

差し引き 44.18億円 を運用へ振り向けたことになる。

現預金が増えておらぬように見えるのは、そのためじゃ。

ゆり | 無表情

ネットキャッシュの増加 71.25億円 の内訳なのです。

有価証券そのものは 80.02億円 増えており、7掛けで見ると 56.02億円 の寄与なのです。

そこへ有利子負債の減少 14.23億円 と、現預金の 1.00億円 が乗るのです。

やよい | 説明

有利子負債のほうは 138.27億円 まで減った。

うち 100億円 は社債で、残りが借入金じゃ。

借りたまま資金を厚くしておる会社ではあるが、当期は借入を返す側へ回った。

フリーCFはどうなった?

ようか | 笑顔

冒頭でいちばん増えてたやつ!

これは何があったの!?

やよい | 自信あり

ようやくそこへ来たか。

数字を分けて見せてもらおう。

項目前期比較前期当期
営業CF↑52.99億円77.79億円
投資CF↑△38.09億円△23.79億円
フリーCF↑14.90億円54.00億円
財務CF↓2.75億円△20.10億円

ゆり | 無表情

増減の中身を分けてみたのです。

向き項目前年差
営業CF税引前利益+36.42億円
営業CF(控除)固定資産売却益と事業譲渡益24.35億円と7.20億円を全額マイナス調整
営業CF仕入債務△19.23億円
営業CF売上債権+15.67億円
営業CFその他の調整+5.06億円
投資CF有形固定資産の売却収入+44.24億円
投資CF有形固定資産の取得支出の縮小+20.41億円
投資CF有価証券への振り向け△44.18億円

ようか | キョトン

多すぎてわかんない!

結局どれが効いてるの?

やよい | 説明

営業CFを押し上げた主因は、税引前利益の増加じゃ。

仕入債務の反転が相殺側、売上債権とその他の調整が補助要因という並びじゃな。

投資CFが小さく見えるのは、投資を絞ったからではない。

不動産を売って、そのぶんを有価証券へ置き換えた結果じゃ。

ようか | キョトン

じゃあ財務CFがマイナスになったのは、なんで?

ゆり | 無表情

前期は社債の借換と長期借入 16.30億円 で、資金を入れる側だったのです。

当期は新規の調達がゼロで、長期借入金を 13.64億円 返済したのです。

配当の支払額 6.26億円 も出ているのです。

やよい | 説明

つまり当期の財務CFの支出は、還元を急に厚くしたからではない。

借りたぶんを返した動きが、そのまま出ておるだけじゃな。

ゆり | 微笑み

なお設備投資は 57.70億円 → 39.10億円 なのです。

前期より 18.60億円 少ないのです。

4. 当期の注目ポイント: 利益の中身を分ける

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました。


▶ 売上高は +4.4%(959.98億円) の増加でしたが、営業利益は +83.8%(47.63億円) と大きく伸びたのです。増収 40.75億円 に対し、売上原価の増加が 17.26億円、販管費の増加が 1.78億円 に収まったことが主因なのです。

▶ 営業増益 21.72億円 のうち 17.36億円 は放送・コンテンツ事業なのです。ライフスタイル事業の寄与は 0.07億円 にとどまるのです。

▶ 親会社株主帰属純利益は +78.1%(44.56億円) ですが、特別利益 35.96億円 が乗っているのです。うち固定資産売却益が 24.35億円、事業譲渡益が 7.20億円 なのです。

▶ 手元資金は現金及び預金が +0.5%(219.79億円) とほぼ横ばいでしたが、有価証券が +153.9%(51.99億円 → 132.01億円) なのです。現預金と有価証券の合計では 270.78億円 → 351.80億円 で +29.9% なのです。

▶ フリーCFは +262.4%(14.90億円 → 54.00億円) なのです。ただし 44.24億円 は有形固定資産の売却収入で、これを除くと 約9.76億円 なのです。

▶ ネットキャッシュは 102.68億円 → 173.93億円、時価総額に対する比率は 48.7% なのです。1倍には届いていないのです。

▶ 連結売上に占める準ストック型の比率は 10%程度 と見込まれるのです。ライフスタイル事業 140.20億円 の約7割が住宅展示場で、それ以外は広告とコンテンツ販売が中心のフロー型なのです。

▶ 年間配当は 13円 → 33円 で 2.5倍 なのです。配当方針を純利益基準へ戻したうえで、上限 1,250,000株・10億円 の自己株式取得も決議しているのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 増収と利益の落差

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、ちょっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力を見て行こう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高851870905919960
当期純利益2714△92545
営業利益422682648
営業利益率4.94%2.98%0.92%2.82%4.96%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 驚き

売上はずっと右肩上がりなのに、利益だけ真ん中がへこんでる!

なんで売れてるのに儲かってないの!?

やよい | 説明

そこが5年でいちばん大事なところじゃ。

凹んでおる2024/3期は、売上が 904.52億円 まで増えた期じゃ。

それなのに売上原価が 629.06億円 へ 48.39億円 も膨らんだ。

結果、売上総利益が 14.15億円 減って、営業利益は 8.32億円 まで落ちたのじゃ。

ようか | キョトン

原価だけそんなに増えるって、何があったの?

やよい | あきれ顔

そこはこの会社も詳しく書いておらぬ。

有報からは品目別の内訳が追えぬゆえ、理由を断定はできぬのじゃ。

ただし同じ期に減損損失 8.01億円 と投資事業損失 3.65億円 も出て、税引前は △4.00億円 の赤字じゃった。

ゆり | 無表情

その期は税引前が赤字でも法人税等を 7.00億円 負担しているのです。

そのため親会社株主帰属純利益は △8.84億円 なのです。

5期のうち赤字はこの1期だけなのです。

やよい | 自信あり

さて、この増減がどこから来たのか、事業ごとに並べてみるとはっきりする。

セグメント2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
放送・コンテンツ 売上(億円)717.65734.08772.17793.40826.52
放送・コンテンツ 営業利益(億円)36.5426.029.1728.2445.60
ライフスタイル 売上(億円)143.50145.49139.56135.49140.20
ライフスタイル 営業利益(億円)8.744.333.732.382.45
ライフスタイル 営業利益率6.09%2.98%2.67%1.76%1.75%
ライフスタイル 資産(億円)275.42297.20298.18288.12295.33

ようか | 驚き

ライフスタイルのほう、利益率がずっと下がってる!

やよい | 説明

売上はほぼ横ばいのまま、利益だけ細っておるのじゃ。

しかも資産は 275.42億円 から 295.33億円 へ増えておる。

展示場は土地と建物が要る商売ゆえ、資産は重い。

そこの採算が5期かけて落ちた、というのがこの表の意味じゃな。

ゆり | 無表情

5期の増収 108.98億円 のうち、放送・コンテンツ事業が 108.87億円 なのです。

やよい | 自信あり

売上の伸びは、ほぼすべて放送・コンテンツ側から出ておるということじゃな。

利益の増減もそちら側じゃ。

連結営業利益の 42.03 → 8.32 → 47.63億円 と、放送・コンテンツの 36.54 → 9.17 → 45.60億円 はほぼ重なる。

さて、次にキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金236223244219220
現金及び預金の対資産率19.1%18.2%19.8%17.0%16.3%
ネットキャッシュ144116111103174
ネットキャッシュ比率53.7%41.9%39.0%35.8%53.1%
フリーCF4△21△01554

ゆり | 無表情

フリーCFは4期ぶんがほぼゼロ近辺なのです。

5期の累計は 52.07億円 で、当期の 54.00億円 だけで累計を超えてしまうのです。

これは当期だけ稼ぐ力が上がった、ということですか?

やよい | 説明

そういう理解の仕方もあるが、本質的には資産を売ったぶんが大きい。

当期のフリーCF 54.00億円 には、有形固定資産の売却収入 44.24億円 が入っておる。

それを外せば 約9.76億円 じゃ。

稼ぐ力も上がってはおるが、大きく増えた主因は不動産の売却じゃな。

ようか | キョトン

じゃあネットキャッシュのほうも売った分ってこと?

やよい | 説明

そちらは少し違う。

当期に増えたのは有価証券への振り替えと、有利子負債を 14.23億円 減らしたぶんじゃ。

売却で入った資金が、そのまま運用と返済へ回ったと見るのが素直じゃな。

ゆり | 無表情

営業CFマージンも 5.8% → 8.1% へ上がっているのです。

EBITDAは 61.33億円 → 83.29億円 なのです。

ようか | キョトン

営業CFマージン?

イービットなんとか?

全然わからん!

やよい | 説明

営業CFマージンは、売上のうちどれだけが実際に手元へ入る現金になったかの割合じゃ。

EBITDAは、利益に減価償却費などを足し戻した数字での。

設備の目減り分を引く前の、現金を生む力の目安じゃな。

ようか | 笑顔

なるほど!

どっちも増えてるってことだな!

やよい | 自信あり

そこは素直に評価してよい。

一過性の売却益を除いても、本業からのキャッシュは前期より厚くなっておる。

ただし5期を通せば、フリーCFがほぼ出ておらぬ年が続いた会社でもある。

当期の水準が続くかどうかは、次の期を見ねば分からぬ。

ゆり | 微笑み

さらに詳細に知りたい人向けに、財務諸表をまとめたので、必要な方は以下を見るといいのです。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金236223244219220
流動資産497464454495567
有形固定資産416412418434409
総資産1,2381,2231,2321,2851,345
流動負債185196227205234
固定負債348303244298269
純資産705724762782843
自己資本比率54.1%56.6%59.3%59.6%61.4%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高851870905919960
売上原価556581629618635
売上総利益295290275302325
営業利益422682648
親会社帰属純利益2714△92545

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF4730575378
投資CF△43△50△57△38△24
財務CF5△16113△20
フリーCF4△21△01554
現金増減10△37111834

(連結・日本基準、単位は億円。現金増減は現金及び現金同等物の増減額で、新規連結等の影響を含む)

6. 指標まとめ: 稼ぐ力とキャッシュの状態

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

ゆり | 無表情

5期の起点と当期を並べたのです。

項目5年前当期
売上高851.00億円959.98億円
営業利益42.03億円47.63億円
営業利益率4.94%4.96%
ネットキャッシュ143.70億円173.93億円
自己資本比率54.1%61.4%
年間配当24円33円

ようか | キョトン

あれ?

売上は増えてるのに、利益率は5年前と同じくらい!?

やよい | 説明

よいところに気づいた。

当期は最高益ではあるが、利益率で見れば5年前へ戻っただけなのじゃ。

そのあいだに自己資本は 669.84億円 から 826.04億円 へ増えておる。

稼ぐ力は元の位置、元手だけ増えた5年、という形じゃな。

ゆり | 無表情

ROEは 4.0% → 5.6%、ROICは 4.27% → 3.94% なのです。

ROICのほうは5年前の水準に届いていないのです。

やよい | 説明

利益の絶対額は戻ったが、資本の効率は戻っておらぬ、ということじゃ。

そこへ当期、配当方針を純利益基準へ戻して 33円 とし、自己株式取得も決議した。

増えた元手をどう使うか、会社が動き始めた期と見てよいのぅ。

ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

営業利益は5年で最高に戻ったし、配当も 33円 まで上がった!

借金も減ってキャッシュも厚くなってるんだから、次はコンテンツがどこまで伸びるか楽しみだな!

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、財務健全性は流動比率やEBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER8.01倍時価総額356.84億円 ÷ 親会社株主帰属純利益44.56億円。特別利益35.96億円を含んだ利益に対する値
現金比率94.0%現金及び預金219.79億円 ÷ 流動負債233.70億円。短期の支払いを現預金でどこまで賄えるか
流動比率242.6%流動資産566.89億円 ÷ 流動負債233.70億円。5期では200〜269%で推移
ネットキャッシュ173.93億円現金及び預金219.79億円 + 有価証券132.01億円×0.7 − 有利子負債138.27億円
ネットキャッシュ比率48.7%ネットキャッシュ173.93億円 ÷ 時価総額356.84億円。投資有価証券181.07億円を7掛けで含めた参考ベースでは84.3%
EBITDA83.29億円営業利益47.63億円 + 減価償却費35.66億円。5期では44.45〜83.29億円
EBITDA/自己資本10.08%EBITDA83.29億円 ÷ 自己資本826.04億円
EBITDA/利息75.04倍EBITDA83.29億円 ÷ 支払利息1.11億円。5期で248.30倍から低下したが利払い余力は十分
ROIC3.94%税引後営業利益33.34億円 ÷ 投下資本(自己資本826.04億円+借入金)。5期では4.27%→3.94%

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!。

  • 経済状況による影響: 放送事業は広告収入に依存する。2025年の日本の総広告費は前年比+5.1%の8兆623億円だが、うちインターネット広告費が+10.8%と伸びており、配分の変化が業績に影響しうる。
  • 番組制作力・番組内容: 視聴者や広告主のニーズに応えられない場合、また誤報や番組内容の問題が生じた場合、訴訟・賠償・評価の毀損につながる。
  • 競合メディア: インターネット動画配信サービスを「大きな脅威」と記載。一方でコンテンツの供給先としてはビジネスチャンスにもなる、と両論を併記している。
  • 法的規制: 認定放送持株会社の認定と放送免許(有効期限5年、直近更新は2023年11月)。法令違反時は免許取消や行政処分のリスクがある。
  • 個人情報の取り扱い: 番組出演者・観覧者・会員サービス・通販・住宅展示場の顧客情報を保有している。
  • 災害や事故: 放送設備・中継設備の被災や停電、住宅展示場やゴルフ場の事業用地の被害。
  • 外国人等が取得した株式: 議決権の5分の1以上を外国人等が占めると認定要件を満たさなくなる。当期の外国法人等の所有割合は6.417%。
  • 成長投資に伴う業務提携や企業買収等: 積極的な成長投資を行ってきたことに伴う株式評価損・のれん減損のリスク。2024/3期には減損損失8.01億円と投資事業損失3.65億円が実際に発生している。
  • 固定資産の減損会計: 将来キャッシュ・フロー見込額の減少による追加減損の可能性。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数41,833,000株2010年7月1日の1対10分割以降、5期を通じて増減なし
自己株式数43,345株自己保有割合0.104%。議決権ベースでは43,300株・0.103%
1株当たり年間配当33円中間8円+期末25円(期末は2026年6月24日の定時株主総会決議予定)
配当利回り3.87%参考株価853円ベース。5期では1.41〜3.87%で、当期が最も高い
連結配当性向30.9%33円 ÷ EPS106.69円。方針は「純利益に対する配当性向30%目途、中長期的に安定して40%」
配当方針の変化30%→みなし利益30%→30%2024/3期に営業利益ベースのみなし当期利益に対する配当性向30%・下限12円へ変更し、当期に純利益基準へ再変更
配当の推移24→16→12→13→33円方針変更で24円から12円へ半減した後、当期に2.5倍へ。純損失だった2024/3期も12円を維持
配当総額13.78億円中間3.34億円+期末10.44億円(基準日ベース)
自己株式取得10億円2026年5月21日決議。上限1,250,000株(発行済の2.99%)、期間2026年5月22日〜2027年3月31日。提出日時点で89,600株・75百万円を取得済み
ストック型収益との関係該当なし準ストック型と推定される住宅展示場の売上額が単独では開示されないため、比率は算出できない。参考として配当総額13.78億円は放送・コンテンツ事業の営業利益45.60億円の30.2%
大株主上位10名で51.13%朝日新聞社14.90%、テレビ朝日ホールディングス9.28%、香雪美術館7.01%と、その他の法人が56.481%を占める

補足

参考株価は本記事を作成した時点の値(853円、2026-09-10時点)を使用しています。時価総額・PER・配当利回り・指標まとめのネットキャッシュ比率は、この株価を前提とした参考値で、自己株式は控除していません。

5年推移表とグラフのネットキャッシュ比率は、各期の有価証券報告書の提出日終値と、当時の提出日現在の発行済株式総数から算出した各期の時価総額に基づく参考値です。指標まとめの当期の値(48.7%)とは算出の前提が異なるため、5年推移表の当期の値(53.1%)とは一致しません。

ネットキャッシュは、現金及び預金に有価証券を7掛けで加えた金額から、有利子負債を差し引いた値です。政策保有株式が中心の投資有価証券181.07億円は基本の計算に含めていません。これを同じく7掛けで含めた参考ベースでは、当期のネットキャッシュは300.68億円、時価総額に対する比率は84.3%になります。

有価証券報告書に【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】の章が含まれていないため、次の点は実額で追えていません。2024/3期に売上原価が48.39億円増えた品目別の内訳、当期に売却した固定資産の物件名(売却益24.35億円)、当期に譲渡した事業の名称(譲渡益7.20億円)、放送収入のうちタイム収入・スポット収入・配信収入の別、長期前払費用の取得10.80億円の内訳(本記事ではコンテンツへの出資が中心と推し量っていますが、会社の開示による裏付けはありません)。本記事ではこれらの理由を断定していません。

ストック型・フロー型の区分は会社が開示している分類ではありません。会社が示しているのは「ライフスタイル事業の売上高の7割を占めるハウジング事業」という記述までで、それ以外は開示情報から推し量った推定を含みます。

営業CFと投資CFの増減の内訳は、キャッシュ・フロー計算書の明細を前期と突き合わせて分解したもので、会社による説明ではありません。推し量った推定を含みます。

セグメント別の数値は連結調整前の報告セグメント値です。連結売上高959.98億円と報告セグメント計966.73億円の差6.75億円は、内部取引の消去等によるものです。

当期の期末配当25円(配当総額10.44億円)は、2026年6月24日の定時株主総会での決議を予定している金額であり、確定値ではありません。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第99期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。